チャプター1:
皆さんは「河童」という存在をご存知ですか？
河童は、日本に古くから住んでいる妖怪です。妖怪とは、通常の人や動物とは異なる不思議な能力を持つ存在で、科学的に説明することができない存在です。普段は人間に恐れられるため、めったに人前に姿を現しません。河童たちも例外ではなく、普段は川の中で暮らし、人間の社会にはあまり出てきません。しかし、中には人間の世界に興味を持つ妖怪も存在します。この物語の主人公である河童の少年、久太もその一人です。久太は人間の社会に大きな興味を抱き、家族に内緒で川から出て、一人で東京へ旅立ちました。
さて、今日久太が辿り着いたのは日本の渋谷です。久太は電車を降りて渋谷駅を出ました。すると、久太は犬の銅像を見つけました。
「おや、あれが有名なハチ公か。意外と小さな像だな」
と久太は言いました。ハチ公の像を眺めていると、像の方から声が聞こえてきました。
「おい、河童」
と声がするのです。
「ん？お前、今話した？」
久太は驚きました。
「俺の声が聞こえるのか。さすが妖怪だな」
と銅像が答えました。
「お前はハチ公か？」
久太は尋ねました。
「そうだ。俺はハチ公さ。ただし、ずいぶん前に亡くなったけどな」
「つまり、お前はハチ公の幽霊なのか？」
久太は質問しました。
「そういうことさ。俺が亡くなった後に、銅像が作られて、こうしてこの世に残ることができているんだ」
「なるほど」
「まあ、この銅像よりも実際の俺はもっと素敵な犬だったんだけどな」
「そうなのか」
と久太は興味なさそうに返事しました。
「そうさ」と銅像は答えました。
「でも、それはどうでもいいや。もっと重要なことがある。俺インスタに投稿したいから、写真を撮らせてくれよ」
と久太は言いました。
「河童のくせにインスタをやってるのかよ」
「悪いかよ」
「気にしないさ。いいよ、ほら、撮ってくれ」と銅像は快く了承しました。
皆（みな）さんは「かっぱ」という存在（そんざい）をご存知（ぞんじ）ですか？
かっぱは、日本に古（ふる）くから住（す）んでいる妖怪（ようかい）です。妖怪（ようかい）とは、通常（つうじょう）の人（ひと）や動物（どうぶつ）とは異（こと）なる不思議（ふしぎ）な能力（のうりょく）を持（も）つ存在（そんざい）で、科学的（かがくてき）に説明（せつめい）することができない存在（そんざい）です。普段（ふだん）は人間（にんげん）に恐（おそ）れられるため、めったに人前（ひとまえ）に姿（すがた）を現（あらわ）しません。かっぱたちも例外（れいがい）ではなく、普段（ふだん）は川（かわ）の中（なか）で暮（く）らし、人間（にんげん）の社会（しゃかい）にはあまり出（で）てきません。しかし、中（なか）には人間（にんげん）の世界（せかい）に興味（きょうみ）を持（も）つ妖怪（ようかい）も存在（そんざい）します。この物語（ものがたり）の主人公（しゅじんこう）であるかっぱの少年（しょうねん）、久太（きゅうた）もその一人（ひとり）です。久太（きゅうた）は人間（にんげん）の社会（しゃかい）に大（おお）きな興味（きょうみ）を抱（いだ）き、家族（かぞく）に内緒（ないしょ）で川（かわ）から出（で）て、一人（ひとり）で東京（とうきょう）へ旅立（たびだ）ちました。
さて、今日久太（きゅうた）が辿（たど）り着（つ）いたのは日本（にほん）の渋谷（しぶや）です。久太（きゅうた）は電車（でんしゃ）を降（お）りて渋谷駅（しぶやえき）を出（で）ました。すると、久太（きゅうた）は犬（いぬ）の銅像（どうぞう）を見（み）つけました。
「おや、あれが有名（ゆうめい）なハチ公（ハチこう）か。意外（いがい）と小（ちい）さな像（ぞう）だな」
と久太（きゅうた）は言（い）いました。ハチ公（ハチこう）の像（ぞう）を眺（なが）めていると、像（ぞう）の方（ほう）から声（こえ）が聞（き）こえてきました。
「おい、かっぱ」
と声（こえ）がするのです。
「ん？お前（まえ）、今話（いまはな）した？」
久太（きゅうた）は驚（おどろ）きました。
「俺（おれ）の声（こえ）が聞（き）こえるのか。さすが妖怪（ようかい）だな」
と銅像（どうぞう）が答（こた）えました。
「お前（まえ）はハチ公（ハチこう）か？」
久太（きゅうた）は尋（たず）ねました。
「そうだ。俺（おれ）はハチ公（ハチこう）さ。ただし、ずいぶん前（まえ）に亡（な）くなったけどな」
「つまり、お前はハチ公（ハチこう）の幽霊（ゆうれい）なのか？」
久太（きゅうた）は質問（しつもん）しました。
「そういうことさ。俺（おれ）が亡（な）くなった後（あと）に、銅像（どうぞう）が作（つく）られて、こうしてこの世（よ）に残（のこ）ることができているんだ」
「なるほど」
「まあ、この銅像（どうぞう）よりも実際（じっさい）の俺（おれ）はもっと素敵（すてき）な犬（いぬ）だったんだけどな」
「そうなのか」
と久太（きゅうた）は興味（きょうみ）なさそうに返事（へんじ）しました。
「そうさ」
と銅像（どうぞう）は答（こた）えました。
「でも、それはどうでもいいや。もっと重要（じゅうよう）なことがある。俺（おれ）インスタに投稿（とうこう）したいから、写真（しゃしん）を撮（と）らせてくれよ」
と久太（きゅうた）は言（い）いました。
「かっぱのくせにインスタをやってるのかよ」
「悪（わる）いかよ」
「気（き）にしないさ。いいよ、ほら、撮（と）ってくれ」
と銅像（どうぞう）は快（こころよ）く了承（りょうしょう）しました。
皆さん (みなさん) – everyone
河童 (かっぱ) – kappa (a mythical creature)
存在 (そんざい) – existence
妖怪 (ようかい) – yokai (supernatural creature)
通常 (つうじょう) – usually, normally
不思議 (ふしぎ) – mysterious
能力 (のうりょく) – ability
科学的 (かがくてき) – scientific
説明 (せつめい) – explanation
人間 (にんげん) – human
動物 (どうぶつ) – animal
異なる (ことなる) – different, distinct
普段 (ふだん) – usually, normally
恐れる (おそれる) – to fear
人前 (ひとまえ) – in public, in front of people
姿 (すがた) – appearance
現す (あらわす) – to show, to reveal
例外 (れいがい) – exception
川 (かわ) – river
中 (なか) – inside, within
暮らす (くらす) – to live
社会 (しゃかい) – society
出てくる (でてくる) – to come out, to appear
世界 (せかい) – world
興味 (きょうみ) – interest
主人公 (しゅじんこう) – protagonist
少年 (しょうねん) – boy
大きな (おおきな) – big, significant
家族 (かぞく) – family
内緒 (ないしょ) – secret
東京 (とうきょう) – Tokyo
旅立つ (たびだつ) – to set off, to depart
渋谷 (しぶや) – Shibuya (a district in Tokyo)
電車 (でんしゃ) – train
降りる (おりる) – to get off
駅 (えき) – station
犬 (いぬ) – dog
銅像 (どうぞう) – bronze statue
有名 (ゆうめい) – famous
小さな (ちいさな) – small
眺める (ながめる) – to gaze, to look at
声 (こえ) – voice
聞こえる (きこえる) – to be heard
驚く (おどろく) – to be surprised
答える (こたえる) – to answer
質問 (しつもん) – question
幽霊 (ゆうれい) – ghost
残る (のこる) – to remain, to be left
重要 (じゅうよう) – important
興味なさそう (きょうみなさそう) – seemingly uninterested
返事 (へんじ) – reply
快く (こころよく) – willingly, gladly
了承 (りょうしょう) – consent, approval
インスタ (いんすた) – Instagram
投稿 (とうこう) – post
写真 (しゃしん) – photograph
撮らせてくれ (とらせてくれ) – let me take (a photo)
くせに – despite being, even though
悪いかよ – so what if I do, what’s wrong with that
Do you all know about the existence of “kappa”? Kappa is a yokai that has been living in Japan since ancient times. Yokai are beings with mysterious abilities that are different from ordinary humans and animals, and their existence cannot be explained scientifically. They are usually feared by humans and rarely show themselves in public. Kappa are no exception. They usually live in rivers and rarely emerge into human society. However, there are some yokai who have an interest in the human world, and the protagonist of this story, a young kappa named Kuta, is one of them. Kuta has a great interest in human society and secretly leaves the river, embarking on a journey to Tokyo.
Now, today, Kuta has arrived at Shibuya in Japan. Kuta got off the train and left Shibuya Station. Then, Kuta spotted a bronze statue of a dog. “Oh, is that the famous Hachiko? Surprisingly, it’s a small statue,” Kuta said. As Kuta was gazing at the statue of Hachiko, he heard a voice coming from the statue. “Hey, kappa,” the voice called out. “Huh? Did you just speak?” Kuta was surprised. “You can hear my voice. Impressive for a yokai,” replied the statue. “Are you Hachiko?” Kuta asked. “That’s right. I’m Hachiko. Although I passed away a long time ago,” said the statue. “So, you’re the ghost of Hachiko?” Kuta asked. “That’s right. After I passed away, this bronze statue was made, allowing me to remain in this world,” explained the statue. “I see,” Kuta nodded in understanding. “Well, in reality, I was a much more magnificent dog than this statue,” the statue murmured. “Is that so?” Kuta responded with little interest. “Yes,” the statue replied. “But that doesn’t matter. There’s something more important. I want to post on Instagram, so could you take a photo for me?” Kuta said. “You, a kappa, using Instagram?” the statue was surprised. “What’s wrong with that?” Kuta replied. “Don’t worry about it. Sure, go ahead and take the photo,” the statue kindly agreed.
